今、一番可愛い美人な女子アナって誰なの？？

https://digital.asahi.com/articles/ASP6552YWP5XUTFL00S.html

「幽霊でも会いたいね」ママのこと少しずつ清水健さん

「シミケン」の愛称で親しまれるフリーアナウンサーの清水健さんは、小学1年生の息子を育てるシングルファザーです。今年、乳がんで29歳で他界した妻の七回忌を迎えました。少しずつ息子と、妻のことを話すようになったそうです。
息子は、4月に小学校に入学しました。自分がこんなにも心配性だったとは思っていませんでしたが、登校初日の朝、「ここからは大丈夫だよ」と話す息子を頼もしく思ったものの、学校近くまで送ってしまった僕がいました。
今年2月が、妊娠中に乳がんが分かり、息子の出産後に112日で僕たちの隣からいなくなってしまった妻・奈緒（享年29）の七回忌でした。節目だからとか、悲しみが薄らいだとか、そういった気持ちではない不思議な感覚で、息子の成長がそうさせてくれているのか、落ち着いた気持ちで迎えられた一日だったように思います。
法要で住職さんが、妻は今の僕たちを見て安心しているからこそ、姿を見せないという話をしてくださいました。そうであったらうれしいです。でも、その夜、お風呂の中で、「幽霊でもいいから会いたいね」と笑いあった僕たちもいます。こうやって少しずつママのことを2人で話せるようになってきました。
息子が言葉を話し始めた頃は、「ママはどこ？」と聞かれたら、どう答えようかと不安もありました。息子なりに、ママがいないことを理解しています。寂しさもあると思いますが、口には出しません。だからこそ、息子の心を人一倍、敏感に感じ取ってあげたい。今後、妻のことや病気のことを詳しく息子が聞いてきた時にきちんと向き合うことが、父としての大きな仕事だと思っています。
妻がいなくなってしばらくは、全部自分がやらなくてはいけないと、勝手にいっぱいいっぱいになっていた時期もありました。でも、それで自分がつぶれてしまったら、結局、息子（6）のことも含めて何もできなくなってしまう。頼り過ぎてしまうことに申し訳ない気持ちはありますが、今は僕の母、息子のばあちゃんにも「今日はこれを手伝ってほしい」と素直に頼めるようになりました。
息子は、プロ野球の福岡ソフトバンクホークスの大ファンで、家での野球観戦も、大好きな柳田悠岐選手のユニホームを着て、メガホンを持って応援しています。そんな息子の「好き」を応援できる親でいたい。
休日は、公園でキャッチボールや親子野球をすることが多くなりました。体力もついてきているので、僕も必死です。バットを振りかけて止めた時、息子が「今のは振っていないよね」と言ったら、僕以外だったら、「そうだね」と言うかもしれません。でも僕は、実際に振っているなら、「いやいや振ったよね」と。2人の中でもルールは守るようにしています。
妻とは、人の心の痛みが分かる子に育ってほしいという話をしていました。人を傷つけるような言葉を息子には絶対に使って欲しくない。言葉って素晴らしいものですが、人を傷つけてしまうこともある。「イヤだ」とか、「嫌い」と口にしたとして、それが人の心にどう届くのかを考えさせるようにしています。
シングルファーザー限定のオンラインサロンを開設しています。みんなが迷いながらも必死に頑張っている毎日。時には「しんどい」といった弱音や「頑張っているよね」と言い合える場所があってもいいのではないか。情報交換の場とともに、パパたちがホッとできる場所をつくりたくて始めました。
サロンで、シングルファーザーの先輩が、子どもたちが受験や就職、大きなことを決めないといけない時にこそ、親としての役割が大きくなってくる。まだまだ長い子育てだからのんびりいこう、そんな話をしてくれました。
「お父さん、聞いて」って息子が思った時に、一番近くにいてあげられる親でいたい。息子の何げない表情や変化に気づける親でありたいです。息子は、「お母さん、聞いて」とは言えないわけなので。
七五三は、妻と挙式をし、お宮参りをした神社に行きました。僕には幸せな思い出が詰まり過ぎているところで、なかなか足が向かなかった場所です。でも、こうやって妻との思い出を感じる場所に、息子の存在が、「行ってみよう」と思わせてくれている。
年月が経っても、妻について悲しさや悔しさが薄れることはありません。でも、少しずつ、一緒に行った場所に息子と行って、そこでの思い出を話せればいいなと思っています。
生後まもない息子と3人で旅した竹富島も、いつかまた、息子と行ってみたいですね。2人で、「この景色、ママと歩いていたよね」と家にある写真の景色と、目の前の景色を重ねて笑い合える日が楽しみです。